あなたの愛犬が、もし言葉を話せたら──
こんなふうに、静かにあなたに語りかけてくるかもしれません。
Contents
犬の十戒とは?犬があなたに伝えたい10の気持ち
名前の由来と、はじまりの物語
「犬の十戒(The Ten Commandments of Dog Ownership)」は、犬を愛するすべての人の心に届く、やさしくて深い詩です。
もともとは、ノルウェーのブリーダー・Mrit Teigenさんが、子犬を迎える家族に手渡していた“犬から飼い主への11のお願い”がはじまりでした。
このあたたかいメッセージは、やがてインターネットを通じて世界中に広まり、日本では「犬の十戒」として親しまれるようになりました。
「命を預かること」「共に生きること」――
その重みと喜びが、言葉の一つひとつに込められています。
この詩が教えてくれること
犬の十戒は、犬が飼い主に宛てた“10のお願い”という形でつづられています。
読み進めるうちに、犬がどれほど私たちを信じ、まっすぐな愛を注いでくれているのかに気づかされるはずです。
ときには、涙があふれて止まらないかもしれません。
けれど、その涙はきっと、「ちゃんと伝わっていたよ」「ありがとう」という犬たちからの言葉でもあるのだと思います。
本記事では…
- 「犬の十戒」原文と和訳を、ひとつずつ丁寧に紹介
- それぞれの意味を、やさしく解説
- 朗読動画のご紹介
- そして、我が家の愛犬・トーマスとの思い出も少しだけ…
あなたと愛犬との日々が、もっとあたたかく、かけがえのないものになりますように。
そんな願いを込めて、お届けします。
📚 犬の十戒【原文全文】
- My life is likely to last ten to fifteen years. Any separation from you will be painful for me. Remember that before you get me.
- Give me time to understand what you want of me.
- Place your trust in me — it’s crucial to my well-being.
- Don’t be angry at me for long, and don’t lock me up as punishment. You have your work, your entertainment, and your friends. I have only you.
- Talk to me. Even if I don’t understand your words, I understand your voice when you’re speaking to me.
- Be aware that however you treat me, I’ll never forget it.
- Remember before you hit me that I have teeth that could easily crush the bones of your hand, but I choose not to bite you.
- Before you scold me for being uncooperative, obstinate, or lazy, ask yourself if something might be bothering me. Perhaps I’m not getting the right food, or I’ve been out in the sun too long, or maybe my heart is getting old and weak.
- Take care of me when I get old. You too will grow old.
- Go with me on difficult journeys. Never say, “I can’t bear to watch it,” or “Let it happen in my absence.” Everything is easier for me if you are there. Remember I love you.
📝 犬の十戒【和訳全文】
- 私の寿命は10〜15年です。
あなたと離れて過ごす時間は、とても辛いものです。
一緒に暮らす前に、そのことをよく考えてください。 - あなたが私に望んでいることを、理解するまでに少し時間がかかります。
焦らず、待っていてください。 - 私を信じてください。
それだけで、私は幸せです。 - 長い間怒ったり、罰として閉じ込めたりしないでください。
あなたには仕事や友達、楽しみがあるけれど、私にはあなたしかいないのです。 - たくさん話しかけてください。
言葉はわからなくても、あなたの声はちゃんと届いています。 - どんなふうに私に接したか、よく覚えています。
私はそれを一生忘れません。 - 私を叩く前に、思い出してください。
私はあなたの手の骨を砕けるほどの歯を持っていますが、決してあなたを傷つけようとはしないのです。 - 「言うことを聞かない」「手がかかる」と怒る前に、私の身に何か起きていないか考えてみてください。
もしかすると、ごはんが足りていないのかもしれないし、暑さでつらいのかもしれません。あるいは、年老いて弱ってきているのかもしれません。 - 私も年を取ります。
どうか、年を取っても変わらずお世話をしてください。 - 最期のその時まで、そばにいてください。
「つらくて見ていられない」なんて言わないで。
あなたがそばにいてくれるだけで、私は安心して旅立てるのです。
そしてどうか、私がいつまでもあなたを愛していることを忘れないでください。
犬の十戒|和訳とやさしく解説
1. 私の寿命は10〜15年です。
あなたと離れて過ごす時間は、とても辛いものです。
一緒に暮らす前に、そのことをよく考えてください。
🐾 解説
犬の命は、人間よりずっと短いです。
その限られた時間の中で、私たちと過ごす一日一日が、犬にとってはかけがえのない宝物。
だからこそ、「一緒にいること」は、犬にとって何よりの幸せなのです。
2. あなたが私に望んでいることを、理解するまでに少し時間がかかります。
焦らず、待っていてください。
🐾 解説
犬も、すぐに全部がわかるわけではありません。
でも、あなたを喜ばせたくて、ちゃんと頑張っているんです。
失敗しても叱らずに、少しだけ気長に待ってあげてくださいね。
3. 私を信じてください。
それだけで、私は幸せです。
🐾 解説
犬は、飼い主のことを心から信じています。
だからこそ、「信じてもらえること」が一番の喜び。
あなたの信頼は、犬にとって生きる力そのものです。
4. 長い間怒ったり、罰として閉じ込めたりしないでください。
あなたには仕事や友達、楽しみがあるけれど、私にはあなたしかいないのです。
🐾 解説
犬の世界の中心は、いつだって“あなただけ”。
あなたがいない時間、あなたに冷たくされた時間は、犬にとってとてもつらいものになります。
どうか忘れないでください。「そばにいてくれるだけで幸せ」なのだということを。
5. たくさん話しかけてください。
言葉はわからなくても、あなたの声はちゃんと届いています。
🐾 解説
言葉の意味がわからなくても、声のトーンや気持ちは、犬にはちゃんと伝わっています。
やさしい声で名前を呼んであげるだけで、犬は心から安心するのです。
6. どんなふうに私に接したか、よく覚えています。
私はそれを一生忘れません。
🐾 解説
犬は、あなたの表情、声の調子、仕草――全部を見ています。
やさしくされた記憶も、怖かった記憶も、ずっと心に残ります。
だからこそ、できるだけ笑顔でいてあげてください。
7. 私を叩く前に、思い出してください。
私はあなたの手の骨を砕けるほどの歯を持っていますが、決してあなたを傷つけようとはしないのです。
🐾 解説
犬は本来、とても力が強い生き物です。
でも、それを絶対にあなたに向けない――その“信頼”と“やさしさ”に、私たちは応えるべきだと思うのです。
8. 「言うことを聞かない」「手がかかる」と怒る前に、私の身に何か起きていないか考えてみてください。
もしかすると、ごはんが足りていないのかもしれないし、暑さでつらいのかもしれません。あるいは、年老いて弱ってきているのかもしれません。
🐾 解説
行動の裏には、必ず理由があります。
言葉が話せないぶん、犬は行動で「苦しい」「寂しい」と伝えようとします。
どうかその小さなSOSに気づいてあげてください。
9. 私も年を取ります。
どうか、年を取っても変わらずお世話をしてください。
🐾 解説
白髪が増えて、動きがゆっくりになっても、心は子犬のまま。
シニアになった犬たちは、さらにあなたへの愛情が深くなっていきます。
最後まで、大切にそばにいてあげてください。
10. 最期のその時まで、そばにいてください。
「つらくて見ていられない」なんて言わないで。
あなたがそばにいてくれるだけで、私は安心して旅立てるのです。
そしてどうか、私がいつまでもあなたを愛していることを忘れないでください。
🐾 解説
この言葉が、一番心に残った方も多いかもしれません。
どんなに辛くても、最後の瞬間まで“あなたのそば”が、犬にとってのいちばんの願いです。
それは、旅立ったあとも変わらない、深い深い「愛」そのものです。
最後の瞬間まで、あなたを愛していることを、どうか忘れないでください。
犬の十戒【和訳朗読YouTube】
30万回再生されている朗読の動画(TV番組)をご紹介します。
是非ご視聴下さい。
我が家の愛犬、最期の日――そばにいられて、よかった。
生前の我が家の愛犬「トーマス」
以前、我が家にはミニチュアダックスフンドの男の子がいました。名前は「トーマス」。
その子が11歳で旅立った、最期の日のことを少しお話させてください。

「動物は、自分の最期を悟る」と言われることがありますが、トーマスも本当にそうだったのかもしれません。
その夜、亡くなる直前に、家の中をふらりふらりと歩いて、家族一人ひとりの部屋を静かに回っていったのです。
そして最後は、いつも一緒に寝ていた妻の腕の中で、静かに息を引き取りました。
最期の瞬間を、家族のぬくもりの中で迎えられて、トーマスはきっと幸せだったと思います。
後から考えると、あの夜はきっと、私たちに「ありがとう」と「さようなら」を伝える、最後のあいさつだったのかもしれません。
思い出すと、やっぱり今でも胸がいっぱいになります。
悲しくて、悲しくて――でも、それ以上に、一緒に過ごした日々の温かさが心に残っています。
🐶 最後に
「犬の十戒」は、単なる詩ではありません。
これは、犬たちが心の奥底から伝えたい「本音のメッセージ」なのです。
私たちが日々の忙しさの中で忘れがちなこと。
それを思い出させてくれる、優しくて切ない10の言葉。
この詩を通して、あなたと愛犬の絆がより深まりますように。

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